けんもりブログ
2018.05.31
KENMORI-BLOG
アリに種子を運んでもらう植物たち。
植物たちは、自分の子孫を広範囲に広めるために、
種子をできるだけ遠くに運ぼうと、様々な工夫をしています。
例えばタンポポの仲間は、種子に綿毛を付けて、風に乗って飛んでいけるようにします。
通称くっつき虫と言われるオナモミ、アメリカセンダングサなどは、種子にトゲを付けて、動物や人間の服にくっつきます。
サクラ・ミズキなどはおいしい果実をつけて鳥に食べてもらいます。
ナラ、カシなどは栄養豊富な堅果をリスが土の中に貯蔵してくれます。
今回ご紹介するのは、種子にエライオソームという栄養豊富な物質を付けることで、アリに種子を運んでもらう植物です。
カタクリ、スミレの仲間、アケビ、ホトケノザなどがそうです。
ちょうど宮川沿いでカタクリの種子が熟していたので採集し、
実際アリが運ぶのか実験することにしました。
種子の先端についている薄黄色の物質がエライオソームです。
展示館前の石畳の間にあったアリの巣の前においてみました。
早速アリがエライオソームに食いつきました!
動画の撮影に成功したのでご覧ください!
本当に巣の中に運んでいきました!
ちなみにエライオソームを取った後の種は不要になるので、アリは巣の外に捨てます。
このようにして、カタクリは広がっていきます。
アリは栄養豊富なエライオソームを食べられ、
カタクリは種子を散布できるというwin-winの関係となっています。
植物の巧妙な生存戦略には驚かされるばかりです。
(阿久津 瞳)