けんもりブログ

2020.04.30

KENMORI-BLOG

タネの運び屋

 
風も暖かくなって、地表ではアリがせわしく歩いているようになりましたね。
 
外で時間を持てあましたときなど、
じっとアリの行列を眺めたりすることはありませんか?
ぼくはあります。
 
アリたちはせわしく歩き周りながら
死んだ小さな虫やチョウの翅とかを見つけては、
一生懸命に巣まで運んでいきます。
 
見ていると何か植物のタネのようなものを
運んでいることがあることにも気づきます。
 
タネはどうするんだろ。
食べるのだろうか。
 
そんなお話をします。
 
 
早春に咲くカタクリ。
 
 
花が終わると実が大きくなっていきます。
 
 
やがてタネが熟すと地面にこぼれます。
茎ごと倒れているものも多いですね。
 
 
こんなタネです。
タネになにか白いにょんとしたものが付いているのがわかりますか?
 
これ、実はアリの大好きなもので出来ている
エライオソームというゼリーのような物質。
成分は糖や脂肪酸など。
 
 
アリたちはこのエライオソームのついたタネを運んでいたのです。
巣まで運んだらゼリーをかじり取って、
不要な種子を巣の外に捨てます。
そうやって遠くへ移動して新たな芽を出すのです。
 
種子の動物散布の一種で、
働き者のアリを運び屋にした「アリ散布」というわけです。
 
 
スミレの仲間もアリ散布です。
春一番に咲くコスミレ。
 
 
花が終わると実がふくらんでいって、
 
 
タネが熟すと上を向いて3つに裂開します。
小さなさやにタネがきれいに並んでいます。
 
 
さやが乾燥するとだんだん狭まってタネを順番に弾き飛ばします。
 
 
地面に落ちたタネはアリが運んでいきます。
 
 
タネを確認すると小さなエライオソームがついてました。
 
 
石垣や木の看板の隙間から
スミレが生えていることがあります。
きっとアリがタネを捨てたか、
運ぶ途中で落としたかですね。
 
 
ヒメオドリコソウの、
 
 
葉っぱの間を見てみると、
花が終わって出来かけのタネを物色しているアリがいました。
 
 
タネを拡大してみると、
ここにもエライオソームを確認。
 
 
せっかくなのでタネを集めてアリの巣の近くに置いてみましょう。
(風があるので飛ばないよう石を置いたりして対策)
 
 
すぐにコスミレのタネをくわえて運んでいきました。
 
 
未熟なヒメオドリコソウの実も人気です。
 
1時間くらいでタネはあらかたなくなりました。
 
—–
 
アリ散布の植物は身近にも意外に多いので、
お庭でタネを集めてアリの観察するのも面白いですよ。
 
[エライオソームのある植物]
・カタクリ
・フクジュソウ
・スミレの仲間(ビオレなども)
・ヒメオドリコソウ
・ホトケノザ
・ムラサキケマン
・ジロボウエンゴサク
・クサノオウ
・ヤマブキソウ
・ニリンソウ
・スズメノヤリ
・タケニグサ など
 
(アクツ)
 
—–
 

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