けんもりブログ

2021.01.19

KENMORI-BLOG

昆虫達の冬の過ごし方

1月20日は一年で最も寒さが厳しい「大寒」。

池も時折、凍ります。

木々はたくさんつけていた葉を落とし、眠っている最中の県森です。

春まではまだ遠いですね。

この時期、昆虫達はどのように過ごしているのでしょうか?

写真1. 凍った森林展示館前の池

写真2. 冬の森の光景

カブトムシやノコギリクワガタ、ミヤマクワガタはその年に寿命を終えますが、一部のクワガタムシは成虫で越冬します。

越冬場所は、土や朽木の中などです。暖かくなるまでじっとしています。

それ以外のクワガタムシは幼虫で過ごしています。

写真3. マイマイカブリ

写真4. コクワガタ(オス)

たくさん飛んでいたトンボはどうしているのでしょう?

池や川の中では、そこに堆積した落葉下の泥の中で、幼虫で過ごす種類もいます。写真5は扁平な体形のコオニヤンマのヤゴ‼夏の間、避暑のために高所移動していたアキアカネは里の田んぼや池などで産卵して成虫は寿命を終え、幼虫で越冬しています。

写真5. コオニヤンマのヤゴ

寒空の下、成虫のまま草木の枝にくっついてじっとしているトンボもいます。

ホソミオツネントンボはまるで枝のようになって成虫越冬します。

写真6. ホソミオツネントンボ

チョウはどうしているのでしょう?ミドリシジミの仲間はブナやナラ類の冬芽に産卵して卵越冬、シロチョウの仲間は蛹越冬、オオムラサキなどは幼虫で越冬しています。しかし中には成虫のまま越冬しているチョウもいます。

ヒオドシチョウやキチョウは、成虫のまま草木に止まってじっとしています。

写真7. ヒオドシチョウ

写真8. キチョウ

雪が降り積もると、昆虫達はどうしているのでしょう?

多くの昆虫達は成虫や幼虫または卵の状態でじっとしていますが、中には雪の上を活発に活動するものもいます。写真9,10は体長が1㎝前後のユキクロカワゲラ(無翅)とクロカワゲラの仲間(有翅)。

雪の上で見られる時は、全てが成虫ですが、川の中で生まれます。

大きさの割には早く歩きますが、ただ歩いているのではなくて川を目指して、太陽をコンパスにしていると考えられていて、小さな昆虫の力強さを感じます。

写真9. ユキクロカワゲラ

写真10. クロカワゲラの仲間

私たち人間は防寒着を着こんで、部屋の中を温かくしないと乗り切れませんが、強風も時には吹き荒れる屋外で、暖かい春をただじっとして待っている昆虫もいます。昆虫達はいろいろな場所で、いろいろな姿で越冬しています。中でもなぜ成虫で越冬しているのか? おそらく天敵や他の昆虫が周りにはいない春一番に繁殖できるというメリットがあるのかもしれません。防寒対策をしっかりとして、冬にかくれんぼしている、そんな昆虫達を探してみるのもいかがでしょう。 (豊口)

 

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