けんもりブログ
2013.07.01
KENMORI-BLOG
ブナ、イヌブナ
7月です。
県民の森でも、梅雨の合間にも日に日に陽差しが強くなり、木々の緑も柔らかなものからギラギラした輝きに変わってきました。
そんななか、宮川渓谷を歩いていると、地面にたくさんのまだ青いブナの実はっけん!
バラバラと落ちています。
良く見ると、未熟な実に小さな穴が開いています。
これは、ブナヒメシンクイという昆虫のしわざだそうです。
ガの仲間で、ブナの実に卵を産み、幼虫は実を食べて成長します。
この穴は、幼虫が出ていった痕らしいです。
ところでこうやって見ると、ブナの実の三角錐がふたつ、ぴっちりときれいに殻斗のなかに収まっているのがわかりますね。
ブナは殻斗(「ドングリの帽子」のこと)がこのように4裂しますが、それは三角錐の実がふたつあわさって、四角錐の形をとっているのだからでしょう。
殻斗の中心に実がくっついていた跡が見えますが、それも三角形です。
なんだか面白いですね。
さて、ブナとよく似た仲間にイヌブナという樹もあります。展葉したばかりのイヌブナの新緑。
県民の森の標高600m付近、宮川渓谷にはイヌブナが多く自生していて、また谷一つむこうには国の天然記念物のイヌブナ林もあります。
そして、標高が高くなるとこんどはブナが多くなり、1000m付近にはブナの巨木林があるのは、ミツモチ山下見の記事でもご紹介したとおりです。
(ちなみに記事のトップ画像はブナの葉と実)
ブナ、イヌブナの葉を並べてみました。
左がブナ、右がイヌブナ。
いろいろな文献によれば
1.葉脈の側脈の数:
ブナ=7~11対
イヌブナ=10~14対
2.葉の質感:
イヌブナのほうがやや質が薄い
3.葉の裏
ブナ=脈とふち以外はほぼ無毛
イヌブナ=細くて柔らかい長い毛が生える
1.に関しては、わりとわかりやすい見分け方です。
葉脈が12本以上あればイヌブナ。
数字で見ると本数はあんまり変わらないのですが、こうやって並べてみると、やはりイヌブナのほうが長~いかんじがしますね。
2.に関しては、写真のとおり。
ブナは厚く硬そうですが、イヌブナのほうは下の軍手の色が透けて見えるほど。
表面も、ブナはテカテカと光沢がありますが、イヌブナは柔らかくて食べられそう(笑)
裏側はこのとおり。
右のイヌブナのほうが、光沢がなく白いですね。
3.について、イヌブナ葉裏のアップ。
やわらかそうな長い毛が生えていますね~
以前ガイドウォークに参加されたお子さんによれば、「仔猫の毛みたい」ということ(*^,^*)
ただこの毛も、秋になると落ちてしまったりします。
ついでにブナの葉裏。つるつるしてますね。
でも、ブナも新緑時期は毛が多いそうなので、悩ましいですね。
どちらかでも見慣れていると、あからさまに質感もシルエットも違うんですが、図鑑でしか見たことがないと間違えそうですね。
葉脈11本のイヌブナもけっこう多かったりしますし、やはり実物をたくさん見るという経験が大切かもしれません。
(なお、画像および文章は、以前に案内員の個人ブログで公開したものを改編したものです)
(遠山)